どっちつかず… 6
「……疲れてるみたいね、切ろうか」
「平気だよ。おまえ切りたいのか」
「あたし切りたくない」そのうち受話器から、スー、スーって寝息が聞こえるんです。
あたしうれしくなっちゃった。
そんなに眠いのに、電話切らないでいてくれる和也。
まるで彼があたしの膝で寝てるような感覚になっちゃって……。
向こうが起きるまでこっちからは切るのよそうと、本を読みながらときどき、「和也、和也」って呼びかけた。
一時間ちょっとしたら、うーんとかいう声がして目が覚めたらしかった。
「なんだ、こんな時間か」
「明日早いんでしょ、もう寝たら」
あれは二十一歳の夏だったかな、何回目かの沼津行きのとき、彼の友人の経営するレストランに連れていってくれた。
「おまえ、こんなにたくさん取って、だれが食べるんだ」
「和也がお腹すいてると思って……」
「腹が減ってたらおれは自分で頼む。おまえ責任持って全部食べろよ、残すと悪いぞ」
テーブルには、ピザ、唐揚げ、スパゲッティ、サラダと山盛り。
「全部なんて食べられないよ」
「おまえはそういうとこがいけないんだ。思いやりがない」
せっかくの食事がちっともおいしくなかった。
こういうのって、本当の恋愛じゃないと思う。
そう思いませんか?
う~ん、なんというか、この人、自分の想いを押し付けてしまうのが問題なのかもしれませんね。