どっちつかず… 5
十二月の初旬、和也と一緒にマイケル・ジャクソンを聴きたくて、東京ドームのアリーナ席のチケットを買い、彼を誘った。
その日彼は沼津からやってきた。
あたしは和也のために編んだセーターを持っていった。
帰り道、クリスマスにはちょっと早かったけど、二人でレストランで乾杯したの。
「着ていいか?」和也はプレゼントのセーターをたいへん喜んで、その場で袖を通してくれた。
「ちょっときついな」手でひっぱって延ばしたりしたけどだめで、結局、肩幅を直すことにしました。
あたしは全部ほどいて最初から編み直し、十二月二十八日になんとか編み上げた。
しかし、宅配便の年内受付はすでに終わっていた。
あたしは電車に乗って沼津まで届けに行った。
和也のお母さんに手渡して、そのまま東京にとんぼ帰りしました。
年が明けても彼からは何も言ってきません。
恐るおそるあたしから電話かけてみた。
「セーター、着た?」
「おまえ何考えてんだ。怖い女だよ、こんなとこまで持ってくるなんて」
「えー、だって……」
「とにかくこんなことしないでくれ。以上」
ガチャンと電話切られちゃった。
彼は機嫌のいいときに電話すると、ちゃんと応対してくれます。
たしかに、男性に嫌われるプレゼントの一つに、「手編みのセーター」もあるらしいですね。想いが強そうですものね。